ニュースレター

 当ホームページでは、今仲清税理士事務所が関与先企業様に送付しております、ニューズレター『ファイナンシャル・ネットワーク』を3ヶ月遅れで公開させていただいております。


平成16年2月号 平成16年度税制改正はこうなる
平成16年3月号 年金手取り大幅減少時代 そのしくみと対応策
平成16年4月号 まだまだ続くデフレの時代…資産活用の原理原則
平成16年5月号 認められる不動産管理料はいくら?
平成16年6月号 損益通算できるもの・できないもの
平成16年7月号 相続時精算課税制度利用者 78,000人
平成16年8月号 世間相場の家賃は適時の建物改修と適正な管理で確保
平成16年9月号 土地の贈与を復活する?
平成16年10月号 これからの税制改正の方向と対応策
平成16年11月号 来年4月からペイオフ全面解禁
平成16年12月号 配偶者に給与をいくら払うべきか
平成17年1月号 リフォーム支出 費用にできるかできないか

ファイナンシャル・ネットワーク
平成17年2月号

無風の平成17年度税制改正


 平成17年度税制改正大綱が発表され、1月には法案が通常国会に提出されました。今回の税制改正はほとんど改正がなかったと言っていいほどで、一般に影響の大きい改正は昨年の税制改正で法律が成立しているもので今年以降に実施されるものが中心です。その中でも我々に大きな影響があるのはやはり「定率減税の縮小」でしょう。といってもこれも実施されるのは来年分からですので実際に影響がでるのはまだ先の話ということになります。昨年末終わる予定だった特定口座への手持ち株券の預け入れが4月以降再度出来るようになるとか、組合方式による不動産所得の損益通算規制とか、法人税では人材教育減税の導入など、ほかにもいくつか気になる点がありますが、意外と実際に影響が大きそうなものは「農地の相続税の納税猶予制度の適用運営の強化」です。また、今回の税制改正には含まれていませんが、定期借地権を設定する際に受け取る一時金を権利金で受け取ったときの税務上の取扱いが明確にされ、これは土地所有者にとっても、賃借人にとっても大きな影響がありそうです。
 今回は平成17年度税制改正についてまとめてみました。


  T.不動産所得を中心とする高齢者にとっては増税

 平成16年以降、不動産所得と年金収入を中心として生活されている高齢者の方々にとっては、次から次へと増税となる改正がされてきました。その上にまたまた「定率減税の縮小」です。これらは次に掲げるようなスケジュールで増税されてきて、今後実施されますが、まさに不動産所得と年金収入で生活されておられる高齢者をねらい撃ちしているかのような改正といえます。

1.平成16年
配偶者特別控除が専業主婦に限って廃止
高齢者のご夫婦の場合には奥さんが専従者給与を取っていなければ、配偶者控除38万円と配偶者特別控除38万円が所得控除されていましたが、これが平成16年から廃止されました。(もっともご養子さんの場合には不動産所得は奥さんになっている場合もありますが)

2.平成17年
@青色申告特別控除の簡易記帳45万円控除が廃止
不動産所得者が青色申告していれば、自動的に10万円の青色申告控除がありますが、平成16年分までは決算書の最後に資産と負債の明細を記入しておけば簡易な記帳でも10万円ではなく、45万円を控除してもらえました。この制度が廃止されます。簡易記帳の控除を受けていた方は、キチンとした帳簿をすべて備えるか、控除額が10万円しか引いてもらえなくなるかのどちらかということになります。

A老年者控除50万円廃止
総所得金額が1,000万円以下の65歳以上の方には50万円の老年者控除がありましたが、これがなくなります。

B公的年金控除の65歳以上の優遇措置廃止
厚生年金や国民年金などの公的年金を受け取っていると、受け取った年金額に応じて一定の控除があります。65歳以上の方についてはその控除額が65歳未満より多く控除されていましたが、65歳未満と同じになってしまい、結果的に増税になります。

C住民税の均等割り全国一律4,000円に
大阪近郊の市町村はほとんど従来から4,000円でしたから、変わりがないところが多いでしょう。

D住民税均等割り配偶者も負担
いままで住民税の均等割りは世帯単位で負担することになっていましたが、夫婦はそれぞれが負担することとされます。一度に増やさず、平成17年は2,000円、平成18年に4,000円とすることになっています。

3.平成18年
@定率減税半減
平成17年までは従来通り所得税は20%の率(住民税は15%)で最高25万円(住民税は4万円)控除されますが、平成18年にはこれが半分の10%の率(住民税は7.5%)で最高12万5,000円(住民税は2万円)とされます。その後廃止するかどうかは今年の年末に決められます。

A65歳以上の住民税非課税措置廃止
合計所得金額125万円以下の65歳以上の方には、住民税の均等割りも所得割りも非課税とされていますが、この非課税措置が廃止されます。



U.平成15年と比較すると平成18年はなんと倍以上

 次の表をご覧ください。これは夫婦共に65歳以上で、夫は公的年金収入300万円、不動産所得500万円(青色申告控除10万円控除後)の方が、簡易記帳をして申告していた場合の、平成15年以降の4年間の税金がどうなるかを比較したものです。所得税と住民税の合計で、平成15年には447,400円だったものが、平成16年には配偶者特別控除がなくなっただけで520,700円になり、平成17年には青色申告控除の簡易記帳分がなくなり、老年者控除がなくなり、公的年金控除が縮小され、住民税均等割りが増えたため、839,100円になり、平成18年には定率減税が半分になるため、920,800円になります。たった4年で所得税・住民税の合計が倍以上に増えてしまいます。

  15年 16年 17年 18年
不動産所得
簡易記帳
公的年金(雑)
  500万円
  △35万円
  150万円
  500万円
 △35万円
  150万円
  500万円
    −
  180万円
  500万円
    −
  180万円
所得金額   615万円   615万円   680万円   680万円
医療費控除
社会保険料控除
小規模企業共済
生命保険料控除
損害保険料控除
老年者控除
配偶者特別控除
配偶者控除
基礎控除
   10万円
   40万円
   84万円
 5万円(3.5万)
 15,000円(1万)
 50万円(48万)
 38万円(33万)
 38万円(33万)
 38万円(33万)
   10万円
   40万円
   84万円
 5万円(3.5万)
 15,000円(1万)
 50万円(48万)
    −
 38万円(33万)
 38万円(33万)
   10万円
   40万円
   84万円
 5万円(3.5万)
 15,000円(1万)
    −
    −
 38万円(33万)
 38万円(33万)
   10万円
   40万円
   84万円
 5万円(3.5万)
 15,000円(1万)
    −
    −
 38万円(33万)
 38万円(33万)
所得控除合計 304.5万円(285.5) 266.5万円(252.5) 216.5万円(204.5) 216.5万円(204.5)
課税所得金額 310.5万円(329.5) 348.5万円(362.5) 463.5万円(475.5) 463.5万円(475.5)
所得税   310,500円   367,000円   597,000円   597,000円
定率減税    62,100円    73,400円   119,400円   59,700円
所得税額   248,400円   293,600円   477,600円   537,300円
住民税
均等割(本人)
     (配偶者)
  195,000円
    4,000円
 
  223,100円
    4,000円
 
  355,500円
    4,000円
    2,000円
  375,500円
    4,000円
    4,000円
総合計   447,400円   520,700円   839,100円   920,800円



V.特定口座への預け入れ再開

 タンス株を証券会社などの特定口座に預け入れると、古くに安い値段で取得した株式を一定の有利な値段で受け入れてもらえる制度は昨年の12月で廃止されました。しかし、まだまだ一般に残っているものと考えられるため、今年の4月以降も引き続いて特定口座に預け入れが出来るようになる予定です。その期限は平成21年5月31日までの予定です。もっとも、従来にあった有利な取得価額での受け入れは出来ないこととされ、実際の取得価額を明らかにしなければならないこととされています。

タンス株式などの特定口座への受け入れ (注)大手証券3社の場合で、細部は証券会社によって異なる
  移行手続き日
2004年末まで 2005年1月から3月 2005年4月から
2009年5月まで






2003年
4月以降
実際の取得価額又は
みなし取得価額
不可 実際の取得価額
1980年から
2003年3月まで
実際の取得価額・
名義書き換え時の
株価・みなし取得
価額のいずれか
不可 実際の取得価額又は
名義書き換え時の
株価
1979年まで みなし取得価額 不可 入れられない見込み



W.農地の相続税の納税猶予の適正運用

 この内容はまだ詳しいものが明らかにされていませんが、@一定の遊休農地を適用対象外にする、A3年ごとに農業経営に関する事項等を記載した届出書の提出を義務化することとされています。@の遊休農地には例えば休耕田などが入るのではないかと思われます。Aについては、従来生産緑地について導入されている届出制度を一般農地にまで広げるものと思われます。いずれにしても、生産緑地法改正に伴う農地課税の強化から既に12年が経過し、より一層農地に対する課税が厳しくなってきているものと思われます。


X.定期借地・権利金費用化の明確化

 定期借地権を設定するときに権利金を受け取ると、一時に大きな収入が入るという点ではよいのですが、受け取った時点で全額に税金がかかることになります。そこで、仕方なく一時金は保証金という形で受取り、契約期間満了時に返還するという方式が多くとられてきました。今回は取扱いの明確化という形で、権利金を受け取っても一時に課税せず、契約期間でその受け取った権利金を均等に毎年収益に計上すればよいことが明確にされました。一時に入金があっても課税は徐々にされるという話ですから、今後は将来返さないといけない保証金よりも権利金方式を選択する方が増えるのではないかと思われます。もっとも、契約期間の中途で解約された場合には未経過分の前受地代は返さなければならない契約でないと認められないなどの注意点があります。いずれにしても、今後店舗用地などとして土地を定期借地権で賃貸するときには、権利金方式を選択することも考慮すべきでしょう。
 今後法案や政令、通達などで重要な点が明らかになればその時点でお知らせいたします。


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