ニュースレター
当ホームページでは、今仲清税理士事務所が関与先企業様に送付しております、ニューズレター『ファイナンシャル・ネットワーク』を3ヶ月遅れで公開させていただいております。

ファイナンシャル・ネットワーク
平成17年7月号
有限会社や株式会社の設立やその運営方法を定めた「会社法」の改正法案がこの国会に提出されており、今国会中に成立し、来年4月1日から施行される予定です。このニュースがお手元に届いている頃には成立しているかもしれません。この改正には様々な重要項目があり、特に有限会社法の廃止で来年4月1日以降有限会社を設立することができなくなる点が重要です。株式会社の設立が資本金1円、取締役も一人でできるようになりますので、従来の有限会社と実質的にはほとんど変わらない株式会社の設立が可能になりますが、有限会社の場合には決算を官報などに公告する義務がなく、監査役も不要で、取締役の登記所への改選登記をしなくてもよいため、費用が少なく済むというメリットがあります。不動産管理会社や不動産所有会社を設立するには株式会社にすると費用が余分にかかりますので、外見さえ気にしなければ有限会社でも十分で、来年3月末までに設立した方がよい場合もあるでしょう。
T.来年4月1日から有限会社は作れない
現在、全国に約313万7,000社の会社があり、そのうち株式会社が約115万社、有限会社が約188万社、残りは合名会社や合資会社となっています。役員の任期がないこと、最低資本金が株式会社の1,000万円より少ない300万円であること、決算公告の義務がないことなどの利点により、会社を作る際には有限会社とされる例が多いようです。特に土地所有者の方が節税対策で会社を作るときにはほとんどの場合で有限会社とされています。ところが今の通常国会で「会社法改正」が審議されており、有限会社法の廃止がその法案で予定されています。既に5月17日に衆議院を通過し、現在(6月6日現在)参議院で審議中です。この法律が成立しますと(成立は間違いないと思われます)平成18年4月1日以降有限会社が作れなくなります。
図表1
U.有限会社は便利
有限会社は、現行の株式会社と比較すると次のように様々な点で便利です。
- 設立時の最低資本金が300万円で済む。(株式会社の場合には1,000万円)
- 株式会社は取締役が最低3人必要であるが、有限会社は1人でよい。
- 株式会社の場合監査役をおく必要があるが、有限会社の場合必要ない。
- 取締役の任期が株式会社の場合2年で、その都度改選登記をしなければならずその費用が登録免許税と司法書士の費用合計で5万円弱かかる。それを怠ると怠っている期間にもよるが2万円から数10万円もの過料(罰金のことです)を支払う必要がある。
- 株式会社は毎期貸借対照表を官報などで公告しなければならない(その費用は毎年6万円程度)が、有限会社は不要。公告を怠っても今のところは過料などを課せられていないようです。
このように株式会社の方が見栄えはいいのですが、有限会社の方が実質的に様々な面で簡易ですから、個人と実体的にあまり大差がないような場合には有限会社とする方が多いわけです。
V.運営が簡易な株式会社ができる
有限会社法そのものがなくなりますので、来年4月1日以降は会社を作るときには株式会社か、新しくできる合同会社(通称LLCといいます)か、既に法律が成立してまもなく施行される有限責任事業組合(通称LLPといいます)か、合名会社若しくは合資会社ということになります。そこで、株式会社を大きく二つに分けて株式譲渡制限のない「公開会社」と株式譲渡制限のある「非公開会社」にわけ、従来の有限会社はこの株式譲渡制限のある「非公開会社」として簡易な運用を可能にして上記のような便利さをできるだけ残すようにしようと考えられています。
図表2
W.株式会社も1円で設立できる
従来、株式会社は1,000万円、有限会社は300万円の最低資本金が必要でしたが、平成18年4月1日からは1円の資本金でも株式会社を設立することができるようになる予定です。有限会社を設立することができなくなる一方、非公開を前提とした株式譲渡制限のある株式会社は容易に設立でき、従来の株式会社と比較して次のような点で運営も容易になる予定です。
- 取締役を1人とすることができる。
- 監査役をおかないこともできる。
- 株主総会の承認を受けて定款で定めれば取締役の任期を最長10年にできる。
X.現行の有限会社は存続できる
それでは今ある全国約188万社の有限会社はどうなるのでしょうか?これについては今まで通り有限会社としての名称を使えますし、有限会社の定款や社員(出資者のこと)、持分及び出資1口が、株式会社の定款、株主、及び1株と自動的にみなされて運用されますので、運営も従来通り続けていけます。もちろん上記「2.有限会社は便利」の(1)から(5)までのメリットは従来通りです。もっとも非公開を前提とした株式譲渡制限会社も取締役を1人とでき、監査役の設置をせずに済ませることもできますので、実質的に有利なのは改選登記が不要なことと決算公告が不要であるということです。
Y.登記はどうなる
来年4月1日以降も従来の有限会社という名称は対外的な名称としては従来通り使用できますが、登記上は株式会社の中の「特例有限会社」とされます。会社が何の手続きもしないでも登記所が勝手に登記を変えますので、登録免許税や手続き費用も不要とされます。ただ、来年4月以降に法律改正を機に商号を株式会社に変更しようとする場合には登記の変更手続きと登録免許税や手続き費用が必要となります。このような変更をすると、もちろん役員の改選登記や決算公告が必要になります。
Z.決算公告をしなかったら高い過料が?
株式会社は商法で貸借対照表の要約したものを一般新聞又は官報に公告しなければならず、公告しないと100万円以下の過料を課すこととされています。しかし、実際には公告をする企業は限られており、公告しなかったからといって過料を課せられていないのが実状です。公告はインターネットなどの電子的方法でもいいのですが、その場合には要約ではない詳しいもので、しかも損益計算書も公告しなければならないこととされており、会社の実状を誰でも見ることができますので実行されている企業はまれです。
今回の改正では、このインターネット公告を調査する機関を設立することとされており、公告の有無も含めて監視が厳しくなる可能性もあります。そうなると100万円以下の過料という問題がクローズアップされるでしょうから、株式会社にする方がいいのか、株式会社を有限会社にした方がいいのかを考える必要があります。
[.来年3月末までに株式会社を有限会社に?
大きな会社と取り引きするについて、口座を開設する際に株式会社でないとだめなので、しかたなく株式会社にした、あるいは有限会社だと聞こえが良くないので株式会社にした等様々な理由で株式会社にしている会社も多くあります。しかし、決算公告をしなかったときの罰金が厳しくなることや、役員改選登記をしなければならないなどの問題を考えると有限会社にした方がよいのではないかと思われる方もいらっしゃるでしょう。来年3月までに株式会社を有限会社に組織変更するためには、手続きと費用が必要で結構金額がかかりますので、次のような点を十分検討してください。
- 登録免許税(6万円)
- 官報への公告費用(5万円)→ 資本の減少がない場合は不要
- 司法書士費用(9万円)
\.組織変更をすると税金がかかる?費用は?
有限会社を株式会社に組織変更しても、逆に株式会社を有限会社に組織変更してもその実態に変更がなければ税務上はその組織変更がなかったものとして取り扱われることになっています。但し、株主構成が変わると個人間の贈与の問題が発生する可能性がありますので、その点は注意が必要です。なお、会社が不動産を所有しているような場合には、不動産の登記名義の変更が必要になりますが、新たな取得とは扱われないため、不動産取得税は課されないことになります。しかし、登録免許税が不動産一件について1,000円と司法書士費用がかかることになります。その不動産に借入の抵当権設定がされていますと、その変更に伴う費用も発生することになります。
].有限会社を作るならなるべく早めに
以上見てきましたように、今回の会社法改正は小さな会社にも大いに関係のある重要な改正です。同じ法務局の管轄で同業種の場合にはよく似た会社名が先に登記されていますと利用したい会社名を登記することができません。このことを類似商号といいますが、その調査や印鑑等の作成、各種届出書の提出など会社の設立にはそれに伴ってしなければならないことがたくさんあります。特に、土地所有者の方が所得税対策や相続税対策などで会社を作ろうと考えられておられましたら、有限会社にする場合には出来るだけ早く着手して、できれば年内に対応しておきたいものです。
今回は会社法の中でも特に皆様に直接的に関係しそうな有限会社に関連する改正を取り上げました。@会社の設立を考えていたところだ、A株式会社にしているけれども有限会社にした方がいいのでは、Bやっぱり取引先との関係で有限会社から株式会社にしたいけど来年になってからした方がいいのかな?という方は、いつでも遠慮なく私どもにご相談下さい。
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