ニュースレター

 当ホームページでは、今仲清税理士事務所が関与先企業様に送付しております、ニューズレター『ファイナンシャル・ネットワーク』を3ヶ月遅れで公開させていただいております。


平成16年9月号 土地の贈与を復活する?
平成16年10月号 これからの税制改正の方向と対応策
平成16年11月号 来年4月からペイオフ全面解禁
平成16年12月号 配偶者に給与をいくら払うべきか
平成17年1月号 リフォーム支出 費用にできるかできないか
平成17年2月号 無風の平成17年度税制改正
平成17年3月号 定期借地権一時払地代の税務明確に
平成17年4月号 一括前受地代定期借地権活用法
平成17年5月号 相続・遺言のトラブル防止
平成17年6月号 金融資産の贈与・有利不利
平成17年7月号 有限会社を設立できなくなる
平成17年8月号 どうなる所得税・今年の対応策

ファイナンシャル・ネットワーク
平成17年9月号

平成17年路線価発表と
一括地代定期借地権最新情報


 3月号では定期借地権による一括前受地代方式の新たな取扱いが明らかになったことをお伝えし、4月号ではその活用方法についてご提案しましたが、7月12日には相続が起きた時の評価の取扱いが明らかになりました。
 これによると土地を定期借地権で賃貸している場合に、その土地所有者に相続が発生した時、その土地の評価をするには、受取った前受け地代の総額を更地評価額で割って算出された割合を定期借地権の権利として評価することとされました。一方、受取った前受け地代については債務控除の対象とはなりません。したがって受け取った前受け地代に相当する金銭をそのまま残しておくと、現金預金として相続財産とされます。つまり、土地の評価が下がった分、現金預金として所有していることになりますので相続税額引下げ対策にはならないということになります。ということは、この現金預金で他の土地の有効活用をするとか、4月号のように定期借地権で貸した土地の上の建物を取得するなどの対策が必要ということになります。
 今月は「一括前受地代定期借地権」による税務上の取扱いとその対策について改めてまとめてみたいと思います。同時に8月1日に発表されました平成17年路線価についてもまとめてみました。


  T.マンション立地は一括前受地代で無借金賃貸経営

 都心部や郊外の急行停車駅前などの分譲マンションあるいは賃貸マンションに向いた立地では、一般定期借地権で土地を賃貸し、地代を50年分一括して前受けし、この資金で賃借人である分譲マンション事業者から建物を購入して賃貸住宅経営をすると大変な節税効果を実現することができます。


1.一括前受地代方式による定期借地で無借金賃貸住宅経営
 都心や郊外の急行停車駅など分譲マンションに適している土地、それも地価が高いほど良いのですが、そのような土地を所有している方がいらっしゃったとします。この土地は手放すつもりはまったくない、しかし更地のまま所有していると固定資産税が高くて仕方がない、かといって多額の借金をしてまで賃貸住宅経営をしたくないというご希望だとすると、この土地を一括前受地代方式による一般定期借地権で賃貸する方法が考えられます。
2.定借買換え賃貸住宅経営
 まず、@一般定期借地権で土地を分譲マンション事業者に賃貸します。このとき従来の保証金・地代方式や権利金・地代方式ではなく、A一括前受地代を受取ります。仮にこの一括前受地代の総額が土地の更地価額の60%だとしましょう。(この割合や相場は今のところまだ事例がありませんので今後決まってくるでしょう)B更地時価5億円の土地だとすると、80%の土地を定期借地権として貸すと2億4,000万円になります。Cこの資金で分譲マンション事業者が建てる建物の何戸かを購入します。建物価格が1戸2,000万円だとすると12戸購入することができます。これを賃貸住宅として1戸について月20万円で貸せたとします。

図表1


 結果としては毎年家賃収入が2,880万円になります。建物の管理手数料のほか、土地にかかる固定資産税・都市計画税は賃借人負担とする契約にしておくと、建物購入部分の土地にかかる固定資産税・都市計画税だけを負担することになります。土地5億円に対する表面利回りはなんと 5.76%にもなります。
3.所得税は課税の繰延効果が非常に大きい
 このようにして定期借地権で土地を賃貸し、一括前受地代で分譲マンションの建物部分を購入する定借買換え賃貸住宅経営をすると、地代の課税の繰延効果と建物の減価償却効果で所得税の節税効果も高いものになります。
  1. 受取った地代はその時に全額課税されず、50分の1ずつ徐々に課税される。
  2. 一時に受取った資金で建物を購入するため、賃貸住宅経営は無借金でできることになる。
  3. 事業用資産の買換え特例を使わないため、全く同じことをする立体買換えの時と比較して、建物取得費用の全額が減価償却費の対象となり、所得税が抑えられる。
4.相続税評価額は大幅に減少することに
 土地所有者に相続が発生した場合の相続税評価額も更地の土地評価から、@土地の評価は定期借地権評価のため、最大45%減額されます。A購入した賃貸マンションの土地持分は貸家建付地となり、20〜30%評価が下がります。B受取った一括前受地代の現金は建物に変わり、しかも貸家となっているため、約40%程度の評価額に下がります。
 下の図の更地時価5億円の土地の相続税評価額が80%とすると更地評価額は4億円になります。これが次のように、@土地の評価額が2億3,920万円、A一括前受地代が建物に替わり、建物は貸家になるため、1憶80万円(借家権割合40%の地域では1億1,760万円)となります。評価額の合計は3億4,000万円ですから、その差額は6,000万円にもなります。

図表2
5.別の土地で賃貸マンション経営も
 上記のように定期借地権で貸した土地の上で建物を取得して賃貸住宅経営をするのも一つの方法ですが、他に有効活用に向いた土地がある場合には、その土地の上に受取った一括前受地代を資金に建物を建てて賃貸することも考えられます。効果は全く同じです。


U.本社ビルの建て替えと同時に定借マンションに

 本社ビルが老朽化していて建て替えなければならない時期が来ているが、建て替えの資金調達がなかなか厳しく、また、本社に資金をかけるより当面の事業展開で手が一杯ということも多いようです。都心立地であれば本社ビル建て替え資金を一括前受地代方式の定期借地権で調達することも可能です。


1.老朽本社ビルの建て替え資金調達に定期借地権
 都心部にある本社が老朽化しているが、建て替えたくとも資金調達が困難で諦めてしまっていたり、もう既に売却してしまったりした例も多いようです。しかし、この土地を定期借地権で賃貸し、自社で使用する部分は自己借地権とし、残りの部分を定借分譲マンションや定借テナントビルとして土地を賃貸することも考えられます。本社移転をせず、新しい本社社屋で営業を続けるわけです。定借テナントビル若しくは定借マンションとして土地を貸すと、一括前払賃料を手にすることになりますから、この資金で建物を取得すればいいわけです。
2.都心の地価の高い場所ほど有利に
 図表3のように、坪200万円の旧本社の敷地300坪を定期借地するとします。これを分譲マンション又は定借テナントビル用地として一般定期借地権で賃貸します。延べ床面積の20%を自己使用しますので残り80%部分を賃貸することになります。50年分の一括前払賃料が土地の時価の50%としますと2億4,000万円になります。この資金を自己借地権設定による自社使用建物購入資金とします。旧本社建物取り壊し費用や様々な付随費用が必要ですし、一階の方が価格が高くなりますのでこんなに単純ではありませんが、必要な自己所有面積の広さや一階でなくても良ければ、自己資金ゼロで本社社屋の建て替えをすることも可能です。

図表3


V.平成17年路線価発表

 8月1日に平成17年分の路線価が発表されました。東京都は標準宅地の平均路線価が13年ぶりに上昇しました。しかしそれ以外の道府県ではやはり今年も標準宅地の平均路線価が下落しています。大型商業施設の開業や再開発が進んだり、海外有名ブランドの出店が進んだりしたような場所では大阪や京都でも路線価の上昇があった地域もでました。
 地価の二極化はかなり前から進んでいましたが、人や元気のある企業が集約している地域では下げ止まりから徐々に地価上昇に転じていますが、そうでない地域では下げ止まらない地域も多く、何とか横這いになっている地域もまだまだ少ないように感じられます。
 土地所有者の方も、日本全体の景気動向や周りの経済情勢に頼らず、その土地の特性にあった有効活用の方法をしっかりと見つけていく必要があります。その手法の一つとして、借入をしない、ということはリスクの少ない定期借地権による土地活用も検討してみる価値があるのではないでしょうか?
 こんな時代でも、一般定期借地権で郊外一戸建て住宅を企画し、全戸販売して成功している例があります。ゆとりのあるすばらしい街並みになって住んでいる人からも、地主さんからも大変喜んでいただけています。地価の二極化の時代こそ知恵と勇気ある決断が必要な時代といえるのではないでしょうか。






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