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当ホームページでは、今仲清税理士事務所が関与先企業様に送付しております、ニューズレター『ファイナンシャル・ネットワーク』を3ヶ月遅れで公開させていただいております。

ファイナンシャル・ネットワーク
平成17年10月号
7月号で来年の新会社法施行後は有限会社を設立することができなくなるとお知らせしましたが、その施行日について平成18年5月8日が有力であることが明らかになりました。新会社法施行後はなにかと手数と費用がかかる「株式会社」か、新たにできる「合同会社」「有限責任事業組合」しか設立できなくなります。(合名会社・合資会社は設立できます)施行日までに有限会社を設立するか、施行日後に「合同会社」を設立するか、この機会に検討することも必要でしょう。そこで今回は今一度、不動産オーナーが「不動産所有会社」を設立するメリットやデメリット、会社設立の判断基準、有限会社設立のメリットと合同会社について詳しくまとめてみました。これらを皆様の意志決定の参考にしていただきたいと存じます。
T.会社設立のメリット・デメリット
不動産管理会社を設立することには、相続税対策・所得税対策としてのメリットがある一方で、設立費用、社会保険加入による負担増、法人税の記帳・申告の手数と費用など様々なコストもかかります。十分に検討してから設立すべきでしょう。
1.相続税対策としての最大のメリットは収入移転
相続税対策としての会社設立の最大のメリットは、なんといっても本来不動産所有者に入る収入が管理料や家賃・地代として会社に入り、個人財産の蓄積を防ぐことができることにあります。個人名義のまま不動産を所有し続けるとその収益はそのまま個人財産として蓄積され、相続税の課税対象となるわけです。会社を通じて子や孫などに移転しておけば、結果的に相続税の課税をされずに納税資金を準備することができます。
2.会社に相続税はない
出資者を将来の被相続人対象者以外の子や孫などにしておけば、出資の評価額は相続財産にはなりません。もちろんその子や孫の相続の際には株式や出資の評価として課税対象とされますが、その対策は長期間かければ土地や建物などより容易に、費用も少なく贈与することもできます。もっとも、十分に時間があればあえて被相続人対象者自身が出資(場合によっては現物出資)し、その株式等の評価を下げた上で贈与することなども可能です。
3.子供が複数いる場合にはその分会社を設立
子供が複数いる場合で、有効活用できる土地も将来のそれぞれの子供ごとに相続させる予定の場合には、一つの会社で実行するのではなく、それぞれの子供ごとに会社を設立しておかないと将来の争いの種を作ることになりかねません。
4.所得税対策としてのメリット
不動産所得者の場合には、どうしても1人の方に所有不動産が集中しており、結果として所得も集中していることが多いようです。所得金額が1,800万円を超えると所得税・住民税合計の税率が50%になります。会社を設立して収入を会社に移転し、その会社から給与や役員報酬として子供や配偶者などに分散すると、この所得税・住民税の税率が低いところで適用することができ、合計すると節税することができます。もちろん実際に役員や従業員として勤務していなければなりません。
5.会社で経費化できたり欠損金の繰越控除や損益通算できたりも
会社契約で従業員や役員の生命保険に加入すると、契約内容にもよりますが少なくとも掛け捨て部分の保険料が費用として処理できますし、土地取得の借入金利子は個人では費用化できませんが、会社では費用化できます。青色申告をしている個人の場合には欠損金の繰越控除が3年ですが、会社の場合には7年間可能ですし、個人の場合には不動産の譲渡損失を他の所得と通算することはできませんが、会社の場合には損益通算できます。
会社設立のメリット
相 続 対 策 |
本来不動産所有者に入る収入が会社に入り、個人財産の蓄積を防ぐことができる |
| 出資者を将来の被相続人以外にしておけば、会社に相続税はない |
| 不動産を贈与するより出資持分を贈与する方が、コストもかからず容易にできる |
| 会社に収益力をつけることができれば、会社を通して相続税の納税資金の準備ができる |
| 会社で生命保険に加入し、その生命保険金を原資に退職金支給して相続税の納税資金に |
| 「争族」対策として相続人ごとに会社設立 |
所 得 税 対 策 |
不動産所得者が高所得のときには、分散することで税率が低くなる |
| 勤務の実態さえあれば所得を数人に分散することができる |
| 生命保険の掛金、土地取得借入金利息、その他経営上必要な出費は会社で費用にできる |
個人の場合欠損金の繰越しや損益通算はさまざまな制限があるが、会社の場合は欠損金を
最長7年間繰越すことができ、損益通算も可能である |
6.会社設立の留意点
会社設立の場合には下の図表のように様々な費用がかかりますし、個人の場合以上に経理をしっかりしなければなりません。その点は留意しましょう。
会社設立の留意点
| 会社設立時の費用が25〜50万円程度かかる |
| 社会保険に加入しなければならず、会社負担分の保険料が余分にかかる |
| 経理を個人と分離してしっかり記帳しなければならず手数がかかる |
| 決算申告のための税理士費用が必要となる |
| 会社には赤字でも法人住民税の均等割がかかる |
U.個人所有か不動産管理会社かの判断基準
1.所得金額は900万円以上なら効果大
下の図表は個人の所得税・住民税の実質税率と法人の法人税・住民税の実効税率を比較したものです。一定の規模を超える個人の不動産業の場合には、年間290万円を超えると超えた部分に5%の税率で事業税がかかりますのでこれも考慮しなければなりませんが、所得税・住民税の税率が法人の実効税率40.8%を超えるのが課税所得金額900万円を超える部分ですので、所得金額900万円が一つの会社設立の分岐点といえるでしょう。
個人と法人税の実効税率
| 課税所得金額 |
個人の実効税率 |
法人の法人税・住民税の実効税率 |
| 200万円以下の部分 |
15% |
| 330万円以下の部分 | 17% |
中小企業の
800万円以下の部分 |
30.8% |
| 700万円以下の部分 |
23.9% |
| 900万円以下の部分 |
25.9% |
| 1,800万円以下の部分 |
34.4% |
中小企業の 800万円超の部分 |
40.8% |
| 1,800万円超の部分 |
34.4〜50% |
2.役員報酬や給与には給与所得控除がある
実際には不動産の収入から直接かかる費用を差し引いた所得に法人税が課税されるのではなく、そこから役員報酬や従業員の給与を受け取ります。仮に1,000万円の所得から500万円ずつの給料を受け取ったとすると法人の所得はゼロになります。個人の場合には1,000万円から各種の所得控除がありますので、その所得控除が200万円と仮定すると800万円の課税所得になります。所得税と住民税の合計で1人約39万2,000円(定率減税はないものとしています)、2人分で78万4,000円になります。個人の不動産所得の場合には所得税・住民税・事業税の合計で235万5,000円になり、差額は約157万円と大きな差になります。
3.所得金額900万円以下でも十分メリットがある
このように家族が役員や従業員として不動産所有会社や不動産管理会社で働いて給与をもらえば、会社にかかる法人税は地方税の均等割りだけで済みますので、給与を2人に分散することによって個人にかかる所得税・住民税が安くなり、かつ事業税はかからないことになります。所得金額で単純に比較するより低い金額でも十分メリットがあるといえるでしょう。
4.所得が少なくても相続税の納税資金対策として
所得税・住民税、事業税以外の面でも個人のままだと所得金額から税金負担分を差し引いた金額が残るため、その累積分が相続財産として相続発生時点で課税されてしまいます。下の図表の例でいえば、結果として相続税の納税資金として10年後に3,823万円しか残りません。会社の収入にしてそれぞれが給与を貯めて将来の相続税の納税資金として貯蓄しておけば、社会保険と所得税・住民税を差し引いても10年後には1人約3,810万円、2人で7,620万円残ることになります。このように相続税の納税資金準備対策として不動産保有会社を設立するわけです。
もちろん、資金の事前移転によって相続税額引下げ対策にもなっているわけですから、その効果も高いことはいうまでもありません。
V.有限会社のメリットと合名会社とは
今ある有限会社や平成18年5月の会社法施行までに設立された有限会社は、有限会社を設立することができなくなった後も「有限会社」として存続することができます。もちろん、役員の任期は任意に決めることができますし、決算書の公告も必要ありません。株式会社(譲渡制限あり)の場合には会社法施行後でも役員は10年以内の任期を決め、その任期満了時には改選登記をする必要がありますし、毎年貸借対照表を官報などに公告する必要があり、手数と少なくない費用がかかります。これらを総合的に考えると、不動産管理会社の場合にはやはり有限会社の方がよいといえるでしょう。
一方、新会社法では有限会社が設立できなくなる一方で合同会社(LLC)の設立が認められるようになります。設立も運用についても簡易です。法人税が課税されるしくみも有限会社と全く同じです。300万円の出資金がいらず、1円から会社を設立できることになります。新会社法施行を待って合同会社を設立する手もあります。といってもまだなじみがありませんのでやはり有限会社でという方も多いでしょう。
いずれにしても不動産所有会社設立についても遠慮なく私どもにご相談下さい。
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