ニュースレター
当ホームページでは、今仲清税理士事務所が関与先企業様に送付しております、ニューズレター『ファイナンシャル・ネットワーク』を3ヶ月遅れで公開させていただいております。

ファイナンシャル・ネットワーク
平成17年11月号
事業用資産の買換えと相当地代方式で
相続税対策と所得税対策
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今年も残り2ヶ月を切りました。そろそろ今年に行うべき対策を練り上げ実行に移さねばならない時期になりました。年内に行う贈与をどの程度の金額で、現金で行うのか?収益を生む建物で行うのか?土地で行うのか?誰に行うのか?通常贈与か精算課税贈与か?十分検討の上で実行しましょう。
さて、10月号では不動産保有会社設立の判断基準について詳しく解説しましたが、今月は親が所有している事業用の土地を子供に売却し、その資金で親が子供に売却した土地の上に収益物件を建設して、相続税額引下げ対策を行い、それと同時に親の所得税対策及び合法的な贈与税のかからない収入移転を実現する方法をご紹介しましょう。
金融機関が土地の購入資金を融資しない状態が長く続きましたが、最近は各金融機関とも将来の資金収支を確実に見込める場合には積極的に融資するようになってきており、この対策を実行することが容易になっています。もっとも本文で詳しくまとめているような条件を満たしている必要がありますので、それをじっくりと確認して条件に合いそうな場合には是非ご検討下さい。
T.親所有の事業用土地を子供に売却
できれば思い切って親所有の土地を子供に贈与したいと思っている人も少なくありません。土地の有効活用を絡めて土地を子供の名義にする方法として、「事業用資産の買換え」と「相当地代方式」とを組合わせるというやり方があります。所有期間10年超の事業用資産(土地・建物等)を買換えた場合の譲渡所得の特例(事業用資産の買換え特例・21号)を活用して、父親の土地を子供に売却するというものです。
図表1
U.事業用資産になるものならないもの
この特例の適用を受けるための1つ目の条件は、親が所有している土地や建物などが事業用であることです。儲かっている駐車場や賃貸中の不動産、出荷している農作物を生産している農地などに限られ、次のように注意しなければならないことがたくさんあります。だめな場合には大変な税負担になりますのでキチンと確認することが重要です。
1.家庭菜園は事業用資産にならない
農地を譲渡し、賃貸住宅を取得して「特定の事業用資産の買換え特例」の適用を受けるには、農地が事業用であるかどうかがまず問題になります。いわゆる家庭菜園のように、農協やスーパーなどに出荷せず、自分達が食べる野菜を作っているような場合にはその農地は事業用とは認められません。しかし、田でお米を作っている場合には、自分達が食べるだけ作っているといってもその耕作面積がそれなりに広いこともあり、通常は事業用として認められることが多いようです。
2.事業廃止後の譲渡は適用対象外
「特定の事業用資産の買換え特例」は事業の用に供している資産を譲渡した場合に適用されます。従って、事業を廃止した後、農地の場合には農業をやめてから土地を売っても適用対象となりません。例えば酒屋さんやお風呂屋さんの場合を考えるとわかりやすいのですが、これらの商売を廃業した後にその商売に利用していた土地や建物を譲渡しても適用されないわけです。もっとも現に営業していなくとも事業をやめた後、速やかに譲渡したような場合には適用されます。田でお米を作っている場合には、秋に刈り取りをした後翌年までは通常そのままおいておきます。翌年に再度耕作する予定であれば当然廃業していないわけで、その状態で土地を譲渡することもあり得ます。そのときには「特定の事業用資産の買換え特例」の適用対象になります。このあたりのところは十分注意をしてください。なお、生産緑地の解除をしたからといって農業を廃業したことにはなりません。農業を行っているかどうかが重要です。
3.農地以外で事業用資産の買換え適用対象にならない場合
次のような場合には譲渡する資産が事業用とならないため、「特定の事業用資産の買換え特例」の適用を受けることができません。
図表2
一般的に事業用資産買換え対象にならない場合
| 一時的な賃貸 |
× |
| 収入−固定資産税=マイナス |
× |
| 同族会社、関係者間、=賃料授受の客観的証明がない |
× |
| 過去の不動産所得、収入計上なし |
× |
| 家庭菜園 |
× |
| 事業廃止後の譲渡 |
× |
- 土地を一時的に賃貸している場合。
- 受取っている地代より払っている固定資産税の方が多い場合。ただしこの場合には事情によっては認められることもあります。
- 土地所有者が、その人が経営するあるいはその親族などが経営する同族会社に土地や建物を賃貸しているが、その支払の事実が明確でない場合。
- 事業を廃止して相当な期間を経過した後に資産を売却した場合。
- 例えば医師であった方が亡くなり、その医院を辞めざるを得なくなり、その医院を譲渡したような場合。
- 過去に賃貸していたがその申告をしていなかった場合。遡って過去の申告をすれば認めらることもあります
V.売却資金で賃貸住宅を建築すると買換え特例適用
以上のような条件に合う事業用の土地や建物などを子供が親から購入した後、親は子供とその土地の賃貸借契約を結びます。親はその土地の売却代金で、又は資金に不足がある場合には若干の借入金をプラスして、一定の要件を満たした賃貸建物を、子供から賃借することにした土地に建築します。この場合には、その事業用の土地の譲渡所得については税法上の要件を満たしていれば、譲渡利益の80%が繰り延べられ、20%にだけ税金がかかることになっていますので、20%×20%=4%程度の税金で済むことになります。
なお、この事業用資産の買換えの特例と長期譲渡所得の税率についての適用期限は平成18年12月31日までとなっています。この対策の実行を検討しようとされる方は適用期限を考慮のうえ早めにご相談下さい。
図表3
W.子供の購入資金の調達・資金繰りがポイント
実行する際の問題点の第2は、子供が土地の購入資金を調達できるかどうかです。資金のやりとりがないと実態のない取引として税務当局が認めてくれないこともあります。また、金融機関が土地の購入資金を融資してくれない時期が長く続きましたが、最近は返済資金の回収が確実であれば積極的に融資する金融機関もあります。返済については、親が高額の相当の地代を払うようにしますので、この地代を返済資金に充てれば問題ありません。高額の地代では贈与税の課税の問題が生じないか心配する方もおられますが、普通借地権の場合には権利金の支払いに代えて「相当の地代」を支払うことによって借地権の認定課税をしないという制度が決められていますので安心です。
結果的に子供が親の土地を購入するために借りたお金を、親の賃貸収入で「相当の地代」を通じて返済するという、一種の贈与プランになります。
X.買換えで相続税評価大幅引下げ
本来土地の賃貸借に関しては権利金を授受しなければなりませんが、税務上の「相当の地代」を支払っていれば、権利金を授受していなくても贈与税を課税されることはありません。「相当の地代」を支払うに当たっては、自用地評価額のおおむね6%とし、契約期間中は「相当の地代」を改訂する方法をとります。改訂する方法では、借地権設定後の土地の値上がり、値下がりに応じて地代が変わるので、常にそのときの「相当の地代」を支払っていることになり、借地権は建物所有者に移転しません。そのために、親の所有財産が土地から賃貸建物に変わったことになり、相続税評価額は大きく下がることになります。
Y.資金繰りと所得税対策
買換えで取得する賃貸建物の収益性が高くないと「相当の地代」を支払えないことになります。そうなると子供が借入れした元利返済ができないことになり、金融機関からの借入そのものが実現しないことになって、この計画は水泡に帰します。つまり、この計画地の立地と収益性が問題になるわけです。一方事業用資産の買換え特例は、建物の償却費を計算するときに課税の繰延を受けた80%部分は減価償却の対象となりません。それに見合う「相当の地代」を支払わないと親の不動産所得が高くなることになり、結果的に税負担が増えることにもなりかねません。一方子供の側は、高い地代を受取り、費用は土地の固定資産税のみですので、もともと高い収入のある方の場合にはかえって高い所得税負担になりかねません。これらを総合的に判断して実行する必要がありますので、くれぐれも私どもにご相談下さい。
図表4
事業用資産の買換え+相当の地代の注意点
| 親の売却不動産が事業用であること |
| 子が購入資金を調達することが可能なこと |
| その為には親が相当の地代を払える収益が残る活用であること |
事業用資産の買換えは建物の償却が本来の20%しかなく、経費がほとんどない
相当の地代の支払後の所得がどの程度になるかがポイント |
| 子が受取る相当の地代で借入金の返済が可能な土地の売買金額かどうか |
| 子の所得が高いと所得税負担税額が高くなりすぎる |
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